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学習意欲を高める方法
 書評に紹介されていた内容なので自分はまだ目を通していないのですが,辰野千壽著『科学的根拠で示す学習意欲を高める12の方法』(図書文化)で紹介されているその12個とは,以下のものでした。

 著者には,1977年に「学習意欲の高め方」(1987年に改訂版)という本を出しているので,これに「科学的根拠」が加わったものが新しい本なのでしょうか。

 今回の記事では,これらを「学習者」の立場から考えてみます。

興味に訴える
知的好奇心に訴える
目的・目標を意識させる
達成動機に訴える
不安動機を生かす
成功感に訴える
○学習の結果を知らせる
賞罰を与える
競争に訴える
自己動機づけを高める
学級の雰囲気を生かす
○学習意欲を高める授業と評価

 10番目の「自己動機づけ」さえしっかり高められれば,他はいらない,という気もしますが,こういう本を教師が読んで「小手先の技」を使われると,学習の効果は期待できないので注意が必要です。

興味に訴える・・・単に授業を聞かせるきっかけとしての働きかけでは不十分で,「自分で調べてみたい」「自分で解決したい」と思えるような教材を提供する必要があります。「話術」ではなく,「教材」で勝負が行われているかどうか,注意が必要です。授業中だけ,「おもしろいな」と感じる学習では,「目標」は達成できないことになるでしょう。
 学習者の立場については,(学習意欲が乏しいと自覚できる場合は)とにかく「きっかけ」づくりが大切になります。
 「きっかけ」づくりに役に立つのは「連想」「発想」の力です。
 どんどん他のことと結びつけて,「孤立した学習対象」にしないことが,「興味」を保障するための条件になります。

知的好奇心に訴える ・・・この章には,「単なる興味」だけでは「学習」は進展したり深まったりはしませんよ・・・という趣旨のことが書かれているような気がします。
 「知的好奇心」は,「思考の枠組み」が増えれば増えるほど,生み出されるパターンも増加し,とどまるところを知らなくなります。どんどん教師の方に質問してしまえばいいのです。
 授業の場は,生徒が教師を質問攻めにするようなパターンがあってもおかしくないでしょう。

目的・目標を意識させる・・・まさか,「テストにでるから」「入試問題に出題されやすいから」と露骨に示されることはないかもしれませんが,受験生にとっての死活問題でもあることを考えれば,それは始めから教えられておくと有利であることは確かでしょう。
 ただ,教科の本来の目標は,学習の途上にある小中学生にとっては理解しにくいものであるので,教師の側にとっては,それを小中学生にも理解しやすいレベルに噛み砕いた説明というのが求められます。
 それがうまく機能しない場合は,たとえば,「これを習得しておけば,次の習得の役に立つ」「これを習得すれば,○○の場面で活用できる」などのスモールステップの目標を意識していくのがよいのでしょう。
 中には,「知的好奇心の向かうがまま」という人もいるでしょうが・・・。

達成動機・成功感に訴える・・・内容面のレベルで考えれば,小中学生が学習を通して「達成」できることというのは,長い学習人生の一場面であることを踏まえれば,微々たるものであることは確かです。ただ,たとえば今までの興味が持てなかったのに持てるようになった,・・・などという「変化」は,学習の意欲を飛躍的に高める「成功」に結びつくので,そういう「変化」に対する「達成感」というのが評価されてもいいのかもしれません。
 テストで高得点をとったり,授業で発言できたりするのがゴールだと考えると,非常に限られた「成長」しか期待できなくなります。
 もっと大きなことを「達成」したいという動機,それが生まれるような「学習」ができるとよいですね。

不安動機を生かす・・・学習者の立場では,「心理学者」に操られている・・・そんな実感が伝わってしまうような記事かもしれませんが,心理学者もプロですから,データに基づいて人間を(この場合は教育を)操作しようとする意図が見え見えになっても仕方がありません。
 学習者の側の工夫としては,「わざとその意図にはまってしまってあげる」というのも一つの手です。
 不安動機というのも微妙な心理ですが,やさしい課題をグループ学習で解決させようとする授業は,これを利用するタイプかもしれません。「時間の無駄」とは考えないで,「不安を解消する」ことを目的にしたものだと理解した上で,自分をコントロールしていくことが大切でしょう。

 学習者側は,教師側の対応を「広告による消費意欲の向上」になぞらえてみて,「本当の学習」にとって必要なことと,不必要なことを見極めていく,そんな態度も求められてるのかもしれません。
 
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テーマ:学習
ジャンル:学校・教育
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