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知の筋力強化ー6 バイアスを除去する方法
 歴史書を読むときの見方・考え方として,あらかじめ「どのような偏りがあるか」を知っておくことは,少なくとも単純な誤解を防ぐための一つの方法かもしれません。

 歴史書に限らず,何か「書かれたもの」というのは,特定の「偏り」がどこかにある,という前提をもって読む「筋力」が,おかしなことを「信じ込む」という結果を招かないための重要な要素となります。

 「知の筋力」として重要なのは,「書き手」の「偏り」の他に,自分自身,つまり「読み手」の「偏り」も自覚しておくということです。

 ただ,自分の目を一切の「意図」から自由にして,「元の姿」を見つけ出す作業というのは容易なことではありません。

 「叙述のスタイルと歴史教育」(三元社)のなかで,溝口雄三は,「素手で歴史に入る」ための方法について次のように述べています。

 まず第一に,資料の中に入るときに,特定の意図をもたない,特定のイデオロギーや外来あるいは既成の観念,枠組みに従わない。

 第ニに,対象を限定したり,特定のテーマを決めたりしない
 
 第三に文献は出来る限り広い範囲に広げ,読む際には拾い読みをせず,隅から隅まで読み,かつ二回以上読む

 第四に文献は時代順に読む

・・・そんなことができるのは時間が有り余っている一部の研究者に限られるだろう・・・という「読み方」もできますが,ここでは「前向きな読み」を心がけると,「事実を探さない」「取捨選択しない」という「普通とは逆」なアプローチの仕方が,本当の「元の姿」に到達する大切な手法であるのかもしれない・・・そういう意識をもつことの意義が伝わってきます。

 運慶が仏像を彫る時,材木を彫って仏像を造形するのではなく,材木の中にもともとあった仏像を掘り出したと言われるような話が,歴史家による「真の歴史像」の発見にも本当に適用されるかどうかはわかりません。

 そして,「元の姿」を発掘しようとする「意図」すらなくせるような境地になることが「本当の知の筋力」なのでしょうが,それを体得するまでは,かなりの年月が必要であるような気はします。
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テーマ:学習
ジャンル:学校・教育
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