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知の筋力強化ー3 翻訳
 政治家の言葉とか、行政の人間の言葉には、適切な「翻訳」が必要であることはよく知られているところです。

 「~については前向きに考えます」=「~についての要望をしっかりお聞きしたという態度だけ、理解してください

 「~については検討しておきます」=「~はできません

 教育の世界にも、通知表に「とても活発」と書かれていたら、「落ち着きがない」と読み取るべきかもしれませんし、「おとなしい」と書かれていたら、「活気がない」「消極的である」ことを暗に批判されているのかもしれないという想像をはたらかせる必要があります。 

 一方、全く同じ言葉を使っていても、相手が対象をどう捉えているかによって、その言葉のままなのか、皮肉で言っているのか、意味が180度変わってしまう場合もあります。

 同じ言語でもこうなのですから、ましてや異なる言語を「翻訳」して母国語で表現するとなると、何重もの「」が存在することになります。

 外国語には、「Madam, I'm Adam」という回文のように、原文のままでないと意味をなさないものもありますから、「翻訳」の限界、誤訳の可能性というものを認識しておく必要があります。

 言語の論理について学ぶことは、大学1年生くらいが一番適しているのでしょうか。

 それより若い世代の人には、「翻訳は難しいものである」という感覚よりは、「100%正しく翻訳することは難しいが、80~90%くらいはできてしまうことへの驚き」を大切にしてほしい、というメッセージがあります。

 これは、「言葉が通じない」ことへの不満よりも、「(意図しなくても)通じてしまう」ことへの恐れを抱いていた方が、本を読んだり、自分の言葉で表現したりという「知」の活動をする上では意味のあることであると解釈することができます。

 授業では、あまり聞き慣れない、概念的な言葉で多くが語られる印象を強くもつことがあります。

 こういう場合、自分の頭の中で「言い換え」を行って、「簡単に言えば、こういうことだ」「要するに、こうだ」という理解・解釈をする習慣を身に付けることも有効でしょう。

 ふだんの授業から、「知の筋力トレーニング」の材料はたくさん転がっているわけです。

 余談ですが、「わかりやすい言葉」で言い換えて説明してくれる先生というのは、この観点で言うと、「よくない先生」であるとも言えてしまいます。健康なのに流動食ばかり与えられていたらまずいですね。
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テーマ:学習
ジャンル:学校・教育
知の筋力強化ー2 アンケート
 総合的な学習の時間,委員会活動などで,「アンケート調査」に協力したり,自分で作成したことがある人は多いかもしれません。

 選択肢の中からあてはまるものを1つ選んだり,好きなだけ選んだり,自由記述があったり・・・テストと似たような形式ではあるものの,正解があるわけではないので,気軽に参加できるのがアンケートでしょう。

 ここでは,アンケートという調査方法について,「知の技法」の観点から,いくつか知っておきたいことがらをまとめておきます。

 今までアンケート調査を受けた経験から,「何もこんなものに紙と印刷機を使うのは無駄では?」と思ったことはありませんか。

 アンケート調査には,「なぜそのアンケートをしているのか」「調査の目的とは何か」が少なくとも実施者の側で明確でないと,効果が得られない場合があります。

 そもそもアンケートを実施する側にとって,調査しようとしていることへの知識や問題意識が少なかったり低かったりすると,協力者も何を答えていいのかわからないという問題がおこってきます。

 ですから,アンケート調査をするときに,まず質問項目を考えるのでしょうが,それを確定するための下調べや,身近な人や専門家へのリサーチをしておくことが必要になります。

 すると,自分が調べたかったことがすでに本に載っているとか,他に調べた人がいたことがわかったり,新しい回答の選択肢を用意したりすることができるようになります。

 つまり,不特定多数の人にアンケートをする場合は,事前にしっかりとした調査活動やアンケートの質問項目,選択肢を練っていく準備期間が必要になるのです。

 そうして,「質的調査」と「量的調査」のバランス,相関関係のことが想像できるようになれば,「知の基礎体力」がついたことになります。

 実際の筋力発揮場面は,アンケートの結果分析でしょう。

 統計的には,「因子分析」といって,変数間の相関関係の分析を行うことで,多くの変数を少ない因子にまとめていくという,「多変量解析」の一技法をとることになりますが,中学生くらいでは,ある選択肢でこれを選んだ人の多くがこちらの選択性でもこれを選んでいる,などの関係を見つけて,いくつかのグループ分けができるようになるだけでもたいしたものでしょう。

 そうすると,アンケートをとって,結果の分析をしたからこそ説明できること行うべき施策というのが見えてくるのです。
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